こんにちは、パワハラ被害経験者のかてぃあです。
私が大学を卒業して就職したころなんて「パワハラ」「セクハラ」「モラハラ」なんていう言葉はありませんでしたが、それらに該当する行為自体は当時からあったなーなんて思い出します。今ではこれらの言葉は世の中的に認知されてはいますが、相変わらずその行為自体はなくなっていませんよね。
「パワハラ」は許されない行為で、会社はそれを防止する対策を行うべきですが、そういった認識の薄い会社も多くあるようです。
もし、今、あなたが勤務先の会社でパワハラにあっていたとして、しかしながら、会社は対応してくれないという場合、この記事を読んでいただければ、どうするべきか解決の糸口が見つかるかもしれません。
もしもあなたが会社でパワハラを受けて辛い思いをしていたら・・・
1日24時間、あなたは、そのうち、何時間を会社で過ごしていますか?法定労働時間の8時間だけだとしても1日の3分の1もの時間を会社で過ごしていることになります。
ちなみに、私は、会社で大リストラがあり社員数が激減し、一時期1日15時間ぐらい働かないと回らない日々を過ごしていました(!)。
何が言いたいかと言いますと、会社員は恐ろしいことに1日の大半を会社で過ごしているわけで、そんな1日の大半を過ごす会社でパワハラを受けていたら、もう地獄でしかありませんよね。うつ病などの病気になる前に、今すぐに解決に向けてアクションを起こしましょう。
私が以前勤めていた会社での話ですが、新卒で入社して営業をしていたK君という社員が受けていたパワハラ事件を思い出します。
K君の上司、S氏は営業部長からの信頼も厚く「仕事ができる優秀な人」とされていました。しかし、彼がとても短気ですぐにキレる人で、私は「なんだかなー」と思っていました。
S氏のグループはS氏以下4人のメンバーがいるチームでしたが、何故か、メンバーがよく辞めるのです。 あるとき、補充のため、中途採用で入社したF君が、たった半年で退職したいと言ってきました。当時私は人事部にいたので、彼の退職手続きをしながら、退職後のことなども聞いていました。彼の退職理由は「キャリア変更のため大学院に行きたいので、その準備のため」とのこと。
しかし、退職後、彼と親しかった社員から何気に聞いた本当の退職理由は異なるものでした。大学院に進学したいというのは元々思っていたようですが、たった半年で辞めようと思ったのは「こんな会社で、こんな上司の元でやってられない」という思いだったらしいです。
どうやら、F君はS氏のメンバーに対するパワハラに耐えられなかったのだそうです。 F君自体はS氏のパワハラを受けていたわけではありませんでしたが、営業から事務所に戻ってきたときに、他のメンバーがS氏から怒鳴られているところに遭遇したり、激高したS氏がK君の頭をたたいたり、すねを蹴ったりするのを目撃したというのです。それを見て、こんなところにいられないと思ったそうなのです。
私もその話を聞いて衝撃でしたが、直接そういう場面を目撃していたF君はいたたまれなかったのでしょう。 それよりなにより、同僚がパワハラを受けているのを見るのも嫌ですが、被害者であるK君始め、他のメンバーたちはどれだけ辛くて嫌な思いをしていたことでしょう。
会社でパワハラを受けている場合、どうしていいかわからないということもあるかもしれません。
私も昔、上司のパワハラを受けたことがありますが、思い返せば、我慢して耐えてしまいました。まあ、当時はまだまだパワハラという言葉も定着していなかったし、なんとなくそういうのは我慢するものだという変な思い込みもあったのかもしれません。
それに、当時は、管理職へのハラスメントの教育などもきちんと行われていなかったような気がします。
しかし、今はそういう時代ではありません。会社でパワハラを受けて辛い、耐えられないというあなた、耐える必要なんてありません。しかるべきところに相談しましょう。
会社でパワハラを受けたらまずは社内の相談窓口に相談しましょう
では、会社でパワハラを受けている場合、どこに相談すればいいのでしょう?
まずは、社内で、そういう相談窓口がないかどうか探してみましょう。
EAPを利用して相談する(※)
理想的なのは、社内相談窓口として設置してあっても、それを受けるのが会社が契約した第三者機関だったりする場合です。
企業の規模に関わりなく、最近は会社がEAPを導入しているところも多いです。
EAPは職場内外での社員の悩みや心身の不調の相談ができますが、職場で起きているハラスメントによって怖い思いをしているとか辛い思いをしているという場合の相談もできます。
そういったところに相談した場合、直接会社にどの部門の誰がというのは伝わりませんが(生命や財産に危険が及ぶと判断された場合は会社に報告されることはあります)原則、名前は伏せた上で、「どのような種類の相談が何件ありました」程度の報告は会社にされるので、会社もパワハラに気づくことができるとおもわれます。
人数の少ない会社の場合だと、たとえばですが、東北支社で、立て続けに3名から「上司のパワハラで相談」なんて会社に報告があれば、ほぼどこで何が起きているか会社は把握できると思われます。
※EAPとは、Employee Assistance Program(従業員支援プログラム)のことで、社員やその家族のメンタルヘルスをサポートする制度です。
人事部に相談する
一般的には、会社で何かを相談するところと言えば、人事部門だと思います。日本の大企業の場合、人事部内にハラスメントに限定はしていなくても、社員からの通報・相談窓口が設置されていたりします。
また、外資系の企業などではヘッドクォーターの人事部門に窓口があったりします。ただ、外資系企業で、アメリカやイギリスのヘッドクォーターに窓口があっても、自分がネイティブ並に英語が話せない限り、正確に話が伝わらなかったり、暴力とかは別として、お国が違えば「それがなにか?」的にとられてしまうこともあるので微妙です。
それに、人事部門に話すことを躊躇する社員が多いことも否めないです。人事になんて言ったら、なんとなく、自分が人事考課などで不利益を被るのではないかという気持ちも働くからです。
先に例をあげたK君ですが、パワハラのことを私に話してくれたときも「自分が悪いんです、この会社が好きでずっと働きたいので、どうか人事部長にも営業部長にも言わないでください」なんて言っていたのです。
それ、ずっと働きたかったら、なおさら、ちゃんとしかるべき人たちに何が起きているか話して、解決してもらわないとだめだと思うのですよね。
確かに、K君は他のメンバーと比べ要領が悪かったり、間が悪かったりしていたのも事実です。会社に提出すべき書類を期限を守って出さなかったりして、私の中でもブラックリスト入りしていたくらいだから、自分の担当業務でもルーズなところがあったのかもしれません。
しかしです、だからといって、パワハラを受けても仕方ない社員なんているわけがありません。暴力なんてもってのほかです。
よく、被害者には被害者になる理由があると言われるけど、どんな場合でも一番良くないのは加害者であるのは当たり前のことです。
もちろん、K君は仕事の進め方など見直す必要があるかもしれません。自分に足りない部分の能力開発の必要もあるかもしれません。 一方で、マネージャーにも部下の足りない部分を教育をする義務があります。
そんな頻繁にメンバーが辞めていたら、どんな優秀なマネージャーだってチームとして好成績を保つのは至難の業でしょう。いかに部下を教育して、部下が実績をあげられるようにするかは、マネージャーの能力であり、それはマネージャーとして評価される場合の重要なポイントだと思うのです。
もし会社がパワハラに対応してくれないときは
さて、意を決して、社内の窓口にパワハラの通報や、相談をしたとしても、必ずしも会社が対応してくれるとは限りません。 特に小さな会社ですと、大企業と違って、そのパワハラ上司の降格や異動といった処分をしてくれないこともあります。(人材がいなくてできないとか言う場合も。)
先ほどのK君の例でもそうでした。K君は誰にも言わないでほしいと言って耐えていましたが、彼はよほど強靱なメンタルだったのか、あるいは、鈍感だったのか・・・。しかしさすがに暴力までふるわれていたということで、私も上司である人事部長に報告すべきと判断しました。
人事部長に話すと、どうやら噂で聞いたようでした。小さな会社だったので、退職したF君の話をきいた社員から話が拡散していったのか、K君以外の他の2人のメンバーが自分たちの同期社員などに話したのだと思います。
そんなこともあり、さすがに人事部長も何もしないわけに行かず、S氏の部下1人1人と面談し、確かにパワハラが行われていることを確認したのでした。これでめでたく一件落着・・・だったら良かったのですが、人事部長と営業部長が話し合った結果、結局なんのアクションもなかったのです。 営業部長にとっての重要度は、あくまでも「S氏>K君たちメンバー」であり、S氏を信じてたみたいですね。
こんな風に、会社が何も対応をしてくれなかったら、どうすればよいでしょうか?
そんなときは、もう社外のものを頼るしかありません。
考えられる方法としては、①外部の第三者機関へ相談する、②弁護士に相談する、そして、③転職するという方法です。
外部の第三者機関へ相談する
まず、外部の第三者機関というのは、先に登場した、会社が契約しているEAPなどのことではありません。外部の公的機関ということです。
会社を管轄する労働局または労働基準監督署の「総合労働相談コーナー」で相談ができます。
厚生労働省の「明るい職場応援団」というサイトに詳しい情報がのっていますので参考にしてみてください。https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/
利用の流れ(総合労働相談コーナーの場合) 会社がある場所の労働局または労働基準監督署に総合労働相談コーナーがあります。電話でも相談ができます。
総合労働相談コーナーで相談員が対応してくれます。 このとき、パワハラが起きた事実関係を整理しやすいよう自分で、
パワハラだと感じたことが起こった日時 どこで起こったのか
どのようなことを言われたのか、強要されたのか 誰に言われたのか、強要されたのか
そのとき、誰がみていたか などを持っていくとよいでしょう。
(「厚生労働省-明るい職場応援団」より)
<「総合労働相談コーナー」https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html >
また、K君のように実際にフィジカルに暴力を振るわれた場合、警察に被害届けを出すということも考え得る手段の一つです。ただし、その場合、証拠が必要になります。
状況を録音しておくとか、証人がいるとか、病院で診断書を書いてもらうとか、もし、傷やあざができたなら、写メをとっておくとか・・・。
しかし、頭をたたかれたといっても出血でもしない限り、また、青あざができるくらい強く蹴られない限り、なかなか暴力を受けた証拠を残すのは難しいです。また、そのような場面でとっさに録音するのも難しいと思いわれます。ですので、直後に、できる限り、状況を詳細にメモって記録に残しておくと良いでしょう。
ただし、できる限りのことをしても、被害届けを受理してくれるとは限りません。
弁護士に相談する
パワハラがひどく、会社に相談したにもかかわらず、会社が何も対応してくれないという場合、上司や会社に対して、訴訟を起こすという方法も考えられます。その場合は、弁護士に相談してみましょう。警察に被害届けを出す場合同様、裁判にも証拠が必要です。できる限りの証拠はそろえてから相談してみましょう。
「外部の第三者機関に相談」のところで紹介した、厚生労働省「明るい職場応援団」のサイトに、「裁判例」が紹介されています。色々なパワハラのケースに応じた裁判例を知ることができ、また、パワハラと認められなかった例もありますので参考にしてみてください。
転職する
パワハラ上司も、パワハラを放置する会社も許せないけれど、労働局に相談したり、訴訟を起こす労力も無駄に思えるし、そんなことより一刻も早くその状況から抜け出したい、と考える人もいるかもしれません。そんな場合は新しい職場を求めて転職するのもありだと思います。
確かにK君のように、その会社が大好きでずっと働きたいと思っている場合、たまたまS氏のような上司にあたってしまいなんて運が悪いのだろう、自分じゃなくてS氏がいなくなってくれないかな、なんて思ってしまうかもしれません。しかし、自分以外のものを変えることなんてできないので、そこはあきらめるしかありません。
K君のように「自分が悪い」からと変に我慢したいたら、いつか心を病んでしまいそうです。病気になんてなってしまったら自分が損をします。実際、パワハラでうつ病になってしまう人はたくさんいます。病気になる前にその場所から逃げることも考えた方がいいと思います。
もちろん、転職先に明るい未来が待っている保証はありませんが、環境を変えて、自分も変えて新たな気持ちでやり直すのもありだと思います。
まとめ
1日の大半を過ごしている会社でパワハラにあっていたら本当に辛いですよね。もしあなたが今、会社でパワハラを受けて辛い思いをしていたら、まずは、社内で相談してみましょう。
相談したにもかかわらず、会社が対応してくれないという場合には次のことをしてみましょう。
- 職場の管轄の労働局や労働基準監督署などの外部の機関に相談する。もし、暴力を振るわれていたら警察に被害届けを出す。
- 弁護士に相談する(訴訟をおこす)
- 新しい環境を求めて転職する
今、会社でパワハラを受けて辛い思いをしている場合、戦っても逃げてもいいのです。自分の心を守ることを第一に考えてほしいです。
ところで、S氏のパワハラ事件には後日談があります。 何のおとがめもなかったS氏ですが、社内でS氏のパワハラの噂が広まり、社内の誰もが知ることとなりました。
定例の異動のタイミングでS氏は降格もせず、他のグループのマネージャーとして異動になりました。異動直後、部下の1人がメンタル不調で休職してしまったのです。原因はS氏ではなかったらしいのですが、もはや、誰もが「あー、またS氏のパワハラ!?」的な反応でした。
それから少ししてS氏は転職して会社を去りました。キャリアアップのためか、会社にいにくくなってしまったのかはわかりませんが。
このケースでは、数人が同じ人(S氏)からパワハラを受けていたこともあり、みんなで声を上げたことが良かったのかもしれません。そのときは会社は対応してくれなかったけれど、社内には噂が広まってしまっていたし、S氏が転職しなかったとしても、会社は何らかの対応をせざるを得なくなっていたことでしょう。 団結することも現状を変える大きな力になると思わされます。
もし、この記事が、少しでも今のあなたの参考になったらうれしいです。最後までお読みいただきありがとうございました。
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